ニューヨーク大学時代について
当院の院長、筒井純也は、世界の歯科分野をリードする、全米最大の歯科医療・研究施設である「ニューヨーク大学歯学部」で4年間かけて系統的に高度な歯科医療を学びました。そのニューヨーク大学での生活をご紹介します。
専門歯科医師としての礎を築いた2つの診療科
Comprehensive Dentistry〈包括的な歯科学科〉
アメリカの専門医は、補綴専門医、歯周病専門医、歯内療法専門医、矯正専門医、顎顔面口腔外科専門医、小児歯科専門医の全部で6種類に分けられています。
日本で歯科医師として働き、もっと最善の治療をと思い、日々考えていた私にとってはどの診療科に行けばいいのか?わからない時期がありました。
その当時、のちに私のメンターになるDr. Michael CohenのInterdisciplinary Treatment Planningという本に出会いました。その著書の中に、さまざまな技術や治療法は、たとえそれらが個々にみて先進的を代表するものであっても、あてもなく提供されるだけでは、理想的な学習や理想的な歯科診療へと昇華する事はできない。現在から将来にかけて現れる多様な治療法や治療技術に対応する骨格となる包括的な治療計画を学ぶ必要があるとありました。読んだときに目の前にかかっていた霧が晴れるような感覚を覚えた事ことを鮮明に記憶しています。
そのような考えから、まず私が所属したのがComprehensive Dentistryという診療科でした。Comprehensiveとは理解力があるとか、包括的にとか総合的にという意味になります。
インプラント科
Comprehensive Dentistry科で大学院生として多種多様な治療計画や治療に携わった後に、歯科インプラント学を徹底的に学びたいと思い始めました。理由は、専門家の高度な連携のもとに作り出される治療計画に歯科インプラントの応用が切っても切れないものであったためです。歯科インプラントは今までは不可能な治療に新たな道筋を作り出していました。
「この先生の元でインプラント治療を学びたい!」―私が「New York大学歯学部」で歯科インプラントを学んだのは、当時New York大学にいたインプラント治療の世界的な権威、Dennis P Tarnow氏が教授をつとめられていたからです。1980年代に創立されたアメリカで一番歴史のある歯科インプラント科で今日の歯科インプラントの標準的な治療法の確立に大きく貢献してきた歴史があります。
先程もお話をしましたが、アメリカの専門医は、補綴専門医、歯周病専門医、歯内療法専門医、矯正専門医、顎顔面口腔外科専門医、小児歯科専門医の全部で6種類に分けられています。
インプラントの専門医というものはありません。
では歯科インプラントはどの分野の専門医が担当するのでしょうか?
答えは主に歯周病専門医、顎顔面口腔外科専門医が手術を担当し、補綴専門医が歯科インプラントの被せ物を作ることが多いです。このように従来アメリカでは複数の専門医が連携して治療を行っています。
歯科インプラント治療の特殊性は外科的な知識(歯周病学、口腔外科学)に加え、被せものを作るという知識(補綴学)の両方が必要になります。それに加え、歯科インプラント学以外の歯科学は歯を対象にした学問であり技術でありました。そのような理由で、歯科インプラントに特化した研究、診療科が必要になります。
NY大学歯学部インプラント科設立者のDennis P Tarnow氏は歯周病専門医であり補綴専門医であるので、上記の両方の知識を高度に習得しているからこそ、歯科インプラント学の発展には各分野の垣根を越え、新しい体制が必要だとの考えからインプラント科が創設されました。
歯科インプラント学の世界でリーディング組織であり、NYという魅力的な立地である事から、アメリカ国内ばかりではなく世界中から歯周病、顎顔面口腔外科、補綴などの各分野からスペシャリストが集まっている組織です。
インプラント治療の世界的な権威、Dennis P Tarnow氏を始め、厳しい指導教官の元、インプラント治療における世界の第一線で学べたことは最高に幸せでした。
学び豊かなニューヨーク大学での生活
多様な患者さまたち
特に「New York大学歯学部」というところは、全米でも非常に患者様が多く、担当する症例数が多いので学生にとってはとてもありがたい環境でした。
患者様が多い理由は、技術的信頼に加えて、NYは人口が多いこと。NY(特にマンハッタン)の歯科医療費が高く、NY大学での治療費がとても割安になる事であるとおもいます。
ただ多いだけではなく世界各国の患者様を治療に当たりながら、治療技術はもちろん、コミュニケーション能力、インフォームド・コンセントなど、医療従事者として必要な知識を、経験を通じて学びとることができたことも、非常に意味深いことでした。
常に緊張感のある環境で一流を学ぶ
当時、印象に残っているのが、定期的に行わる各分野のドクター達を集めたカンファレンス。ここでは自分の患者様の治療計画を、数多くのドクターの前で発表し合う場所なのですが、ここでの熱気は本当に凄まじかったのを覚えています。
まず、それぞれの分野を極めたドクターが集まって来てディスカッションを行うわけですから、とにかく色んな意見が飛び出します。(日本と違ってガンガン意見がでてきます)。正しい診断はひとつですが、いろいろな立場のドクターから色んな治療方法がどんどん飛び出してくるのです。
これがとても勉強になります。患者様の状態や希望も千差万別であるので、いろいろな視点で考える力が養われるこのようなカンファレンスはとても有意義なものでした。
自分の担当患者様の発表のときなどはすごい緊張でしたが、自分の治療計画が評価されるときの喜びも大変なものでした。ただ、今思い出しても少し胃が痛くなります(笑)
外国人の患者さま達とのコミュニケーションの取り方の難しさ
また、医療人にとって絶対に必要なスキルである「患者様との適切なコミュニケーション」についても学ぶことができました。
そもそも、同じ日本人の患者様であったとしてもコミュニケーションは難しいものです。ましてや、外国人の患者様とのコミュニケーションは尚更難しい……。生まれた国、育った環境などのバックボーンが全く違いますから、言葉は通じたとしても、患者様の本質的なご要望を理解することは本当に難しいものでした。
こんな失敗談があります。ある黒人の患者様が前歯を治療と来院したのですが、その方は前歯の間に隙間ができていて、日本人から言わせると多くの方がコンプレックスを感じてしまう状態でした。当然私はその前歯の隙間を埋めるべく治療方法を提案したのですが、どうも患者様はしっくりこない。
話を聞いてみると、彼にとってはこの前歯の隙間は、実はとても気に入っていて、むしろカッコいいと思っているくらいだったのです。
このように、歯科医師が「こちらの方が良い」と思っていても、患者様からすると、実は全く違ったご要望を持っている場合もあります。歯科医師としての大切なことを学ぶことができた良い経験でした。
全米最大のインプラント学会での研究発表
指導医で共同発表者のDr. Dennis P. TarnowとDr.Sang-Choon Choとアメリカで一番大きな歯科インプラントの学会。NYUのペリオ・インプラント科では毎年、大学院2年生、3年生が参加します。通常、1年目ではサポートに入り発表は行わないのですが、1年目に発表をする機会を得ました。
次期アメリカ歯周病学会会長で歯周病学と歯科インプラント学の権威の一人です。
特に、歯科インプラントの世界では歯科インプラントの失敗や偶発的な問題にどのように対処すべきであるか?
また、どのように問題なく歯科インプラント治療を行うか?ということが大切だと世界中で講演されています。
近年は、年一回行われるDental Implant complicationsという学会を開催し、歯科インプラント再治療のエビデンスレベルを高められてる偉大な先生です。
人柄はというと、とにかく、ユニークでいつも皆を笑わせてばかり!!アメリカンジョークって面白くないと思ってましたけど、笑いに壁はないなと思いました。(笑)
本質を見抜く洞察力は天才的で一緒にリサーチをした2年の間は本当に刺激的でした。アメリカで行われるAcademy of Osseointegration という国際学会で2度、ポスター発表しました。また、研究が関連する歯科インプラントの手術で多くの指導をしていただきました。
臨床医としてもすごく評価が高く、世界のVIPが患者さんです。
オフィスはニューヨーク近代美術館(MoMA)の目の前です。
Dr. Ady Palti
Dr. Stephen Wallace(サイナスリフト第一人者)
Dr. Stephen Wallace(サイナスリフト第一人者)
Preston D.Miller, JR.(歯周病学の権威)
Robert N. Eskow, DMD, MScD
Tiziano Testoriの勉強会
Tiziano Testoriの勉強会②
Tiziano Testoriの勉強会にて