こんにちは、歯学博士の黒坂です。ようやく暖かい日も増えてきて、春がまちどおしいですね!体調に気をつけながら過ごしてください。
さて今日は、みなさんの歯を健康に保つために一番大事な毎日のケア、「はみがき」についてお話していこうとおもいます。「一日に何度も、時間も長く磨いているのに、むし歯になったり、歯茎の腫れが落ち着かない!!」という方もいらっしゃるかもしれません。ブラッシングにはいくつかポイントがあり、正しい方法で磨くことによって歯や歯茎を健康に保ち、むし歯や歯周病を予防することができるのです。
1、歯はいつ磨いたらいい??
そもそも、いつ歯磨きをするのがいいのでしょうか?これに関しては様々な意見があります。以前は、「1日3回、毎食後」が推奨されていましたが、近年の研究データから、食後すぐは口の中が酸性に傾いているため、30分以上たって口の中が唾液で中和されてから磨くことが推奨されるようになってきました。酸によって歯のエナメル質の内側からカルシウムなどが溶け出している状態で歯の表面をブラシでこすると、有機質の部分が破壊され、歯の表面が削れてしまうからです。それでも、1日3回磨くのが難しい場合は、朝と夜の2回でも大丈夫です。特に夜寝る前の歯磨きはとても大切です。できれば少し時間をかけて入念に磨くとよいです。寝ている間は、細菌の繁殖を抑えてくれる唾液の分泌が減少するので、口腔内にプラークが残っていると細菌の増殖が一気に進んでしまうからです。
2、歯ブラシの選び方
毛先の硬さは、やわらかめ・普通・硬めの三種類が一般的です。それぞれの歯茎の状態もありますが、基本的には普通がお勧めです。
また、ヘッドの大きさも小さめ・普通・大きめの三種類があります。大きいと、一度にたくさんの部位に当たりますが、奥歯のほっぺた側に入りにくくなります。小さいと一度に磨ける部分が減りますが、奥歯のほっぺた側など細かい部分に入りやすくなります。特に問題なければ普通を使ってもらって大丈夫ですが、小さめの方が細かい部分まで磨きやすくなるのでお勧めです。
もし、今ご自身がお使いの歯ブラシでお悩みや不安がありましたら、ご来院時にご相談ください。今の歯茎の状況やご自身に合った歯ブラシをお伝えさせていただきます。
3、ブラッシング方法の種類
基本的に4つあります。
① スクラッピング法
歯ブラシを歯の面に直角(90度)にあて、小刻みに左右に振動させ一本ずつ丁寧に磨いていきます。噛む面も、同じように直角にあて、小刻みに左右に振動させます。歯と歯肉の間にはブラシを入れません。
簡単なので、お子様にもおすすめのブラッシング方法です。
② ローリング法
歯ブラシを歯と平行にし、毛先を歯の根元に垂直に当てて歯の先端に向けて回転させます。
③ フォーンズ法
歯ブラシの毛先を歯に直角(90度)に当て、クルクルと回転させながら磨きます。
④ バス法
歯ブラシの毛先を斜め45度の角度で歯茎にあて、小刻みに動かしながら、一本ずつ横に移動させて磨いていきます。
4、ブラッシングのコツ
ブラッシング圧は150~200gと言われ、鉛筆で字をかくぐらいの強さです。歯ブラシの交換時期は1カ月ほどで、毛先がひらいた状態だと効果的に汚れが取れません。歯ブラシの毛先が開く前にできれば新しいものに替えるのがベストです。
歯磨き粉をつけすぎないのもポイントです。歯磨き粉にはいろいろなタイプがあります。虫歯予防や歯質強化を望むなら、フッ素入りのものを使いましょう。知覚過敏のある方は知覚過敏専用のものもあります。どの歯磨き粉も、たくさんつけすぎると泡で歯が見えにくくなり、実際にはきちんと磨けていないということがあります。歯磨き粉の量は少なめ(1cm弱)にしましょう。
電動歯ブラシは、きちんと使いこなせば手で磨くよりも簡単に短時間で効率よく磨くことができます。ただ、当て方や当てる場所が間違っていれば勿論汚れはとれないので、ブラシの当て方がとても大切になってきます。
5、まとめ
歯科医院の30分の施術で行うクリーニングよりも、毎日ご自分で磨く時間の方が圧倒的に多くなります。ですから、たかがハブラシとは思わず1日に1回でもしっかり丁寧に、かつ的確に磨く時間を作ることがとても大切になってきます。
磨き方や歯ブラシの種類、その他お悩みや疑問がありましたら、是非ご来院時に質問してください!一人一人の状況をご説明し、今のお口の中に合ったブラッシング方法などをお伝えさせていただきます。