みなさま、こんにちは!歯学博士の黒坂です。本年もお口にまつわる気になるトピックスをみなさまにお届けしていけたらと思います。どうぞよろしくお願いします!
さて、本年最初の話題は、そろそろやってくる花粉症にまつわるお話です。花粉症で処方されるまだ1月ですが、ニュースでも今年は花粉の飛散時期が早く、飛散量も多いと報道されていますね。
何年か前にテレビ等でも取り上げられましたが、「シダキュア」はスギ花粉症の舌下免疫療法で用いられている治療薬です。これらを服用されている方に対して、抜歯等の外科処置を行うと重大な副作用を生じる可能性があることが報告されています。ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法で用いられる治療薬「ミティキュア」も、同様の可能性が指摘されています。そのため、服用されている方は注意が必要になってきます。
⭐︎舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法(Sublingual Immunotherapy, SLIT)は、アレルギー性鼻炎や花粉症、アレルギー性喘息などのアレルギー疾患の治療法の一つです。この治療法では、アレルゲン(花粉、ハウスダスト、ペットのアレルゲンなど)を舌下に滴下または錠剤として投与することで、免疫系の反応を調整し、アレルギーに対する耐性を高めることを目指します。
舌下免疫療法は非侵襲的で注射を必要とせず、患者さんが自宅で簡単に自己管理できる特徴があります。定期的に行われ、アレルゲンの投与量が徐々に増加していくことで、症状の改善が期待されます。
この治療法は特定のアレルギーが確定している患者に推奨されることが多く、症状が軽度または中等度の場合に効果が高いとされています。ただし、重度のアレルギー症状や他の健康上の問題を抱えている場合には、適切な評価と医師の指導のもとで治療を検討する必要があります。
⭐︎シダキュアの副作用
・口の中のむくみ・かゆみ・不快感・違和感
・唇の腫れ
・のどの刺激感や不快感・違和感
などが、シダキュアの副作用としてお口の中に反応が出ることがあります。
⭐︎歯科治療で引き起こされる副作用
抜歯等の外科処置を行った後の傷口から薬の成分が入り込むと、重大な副作用としてアナフィラキシー様症状で気道が腫れて窒息する可能性が報告されています。口内炎等で口腔内に傷があったり、もしくは矯正治療器具が粘膜に接触して傷がついている場合にも注意が必要です。
5歳以上から使用される治療薬ですので、お子さまにも処方されていることがあります。大人よりもお子さまの方が大きく腫れやすいという特徴があり、生え変わり等によって乳歯の抜歯を行う際にも注意が必要です。
⭐︎まとめ
安全に歯科治療を行うためにも、「シダキュア」「ミティキュア」を服用中の方あるいは服用中のお子さまの保護者の方は、必ずその旨をお申し出くださいますようお願いいたします。必要に応じて休薬しなければいけないこともあり、外科処置を行う場合はかかりつけ医の先生との連携が必要になってくる場合もあります。みなさまのご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。