こんにちは、歯学博士の黒坂です。
みなさんは、「フレイル」という言葉をご存じですか?フレイルとは、高齢者において加齢とともに身体的、精神的、社会的な機能が低下し、健康リスクが高まった状態を指します。具体的には、筋力の低下、体重の減少、疲れやすさ、活動量の減少などの身体的な衰え、認知機能の低下やうつ状態などの精神的変化、孤立や社会的なつながりの喪失といった社会的な要因が含まれます。
フレイルは放置すると、日常生活の自立度が低下し、転倒や骨折、認知症、入院、さらには死亡リスクが高まるため、早期予防と対策が重要になってきます。しかし、新型コロナウイルスの流行により、外出機会や人との会話が長期間にわたって制限されてきたため、フレイルの高齢者に特に深刻な影響を与えました。また、30~40代の若い世代にも、隠れフレイルの人が増加したと言われています。
オーラルフレイルとは?
その中で、歯科が関係してくるのが「オーラルフレイル」です。オーラルフレイルとは、口腔機能の低下により、食べる、話すといった基本的な生活機能が衰える状態を指します。具体的には、噛む力の低下、飲み込む力の低下、口腔乾燥、歯や歯茎の健康状態の悪化などが含まれます。これにより、食事やコミュニケーションが難しくなり、栄養不良や社会的孤立を招く可能性があります。早期の重要な老化のサインとされますが、早めに発見して適切な対応を行なうことによって改善できる状態です。
そのため、日ごろから意識してオーラルフレイルの予防をしていくことがとても重要になってきます。
あなたはオーラルフレイル?
✓ 固いものが噛めない
✓ むせる・食べこぼす
✓ お口が渇く、ニオイが気になる
✓ 自分の歯が少ない
✓ 活舌が悪い
みなさんは、上記項目で何個当てはまりましたか?実は、2つ以上該当すると、オーラルフレイルの状態にあると言われています。でも、安心してください!早期発見することによって、このお口周りの軽微な衰えを改善することができます。
オーラルフレイルの予防・改善方法
かむ力や飲み込む力、舌の筋力を維持するために、口周りの舌の筋肉を鍛える体操を行ないましょう。活舌の改善や、表情筋と言われる筋肉も鍛えられ、表情豊かになったりしわができにくくなる効果も期待できます。
1 お口・舌の動きをスムーズにする
唇やほほ、お口周りや舌の筋力アップによって、お口の機能が高まり、唾液が良く出るようになったり、舌が滑らかに動くので食べ物を飲み込みやすくなります。お顔の表情もイキイキしてきます。
・口の体操(唇、ほほ)
・舌の体操
・パタカラ体操
・唾液腺マッサージ(耳下腺、顎下腺、舌下腺)
2 飲み込むパワーをつける
飲み込みに関連する筋力をアップすることで、食事中の「むせ」などの症状改善につながります。
・開口訓練
・ベロ出しごっくん体操
・おでこ体操
・ごっくん体操
3 噛むパワーをつける
「食べこぼし」や、食べ物が鼻に流れ込むのを防ぎます。また、唾液が良く出るようになると、美味しく安全に食べられます。
4 活舌をよくする
口の動きをよくすることで、明瞭な発音につながり、表情が豊かになります。
・早口言葉
5 舌のパワーをつける
「誤嚥」や「むせ」などの症状改善につながります。
・舌のトレーニング
歯に目が行きがちですが、お口まわりの筋肉もお口全体の健康には欠かせません!少しでも気になった方は、日ごろからお口のトレーニングをして美しく健康でいられる「お口の健康寿命」をのばしていきましょう!何か気になることなどありましたら、お気軽にご質問ください。