こんにちは、歯学博士の黒坂です。
近年、新型コロナウイルスの予防のためにマスクをつけることがスタンダードになっていましたが、最近はマスクを外している人も増えてきましたね。このマスク生活で増えたのが、「口呼吸」です。ずっとマスクをしているため、いつの間にか鼻ではなく、口で呼吸している人が増加したと言われています。
あなたは口呼吸??チェックリスト。
・気が付いたら口が開いている
・口の中や唇が乾燥している
・いびきをかきやすい
・鼻づまりが多い
・前歯が飛び出している
・口臭がある
・口を閉じた時に顎に梅干しのようなシワができる。口を閉じた時にへの字になる。
これらにあてはまる項目が多いほど、口呼吸になっている可能性が高いです。
口呼吸が身体に与える悪影響
1 むし歯・歯周病になりやすくなる
口呼吸だと、口の中が乾燥し、唾液量が減少します。唾液には自浄作用(歯や歯茎についた細菌を洗い流す作用)や抗菌作用(虫歯や歯周病菌の増殖を抑える作用)があります。
唾液が減少することによって、細菌に対抗する力が弱くなり、結果むし歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
②口臭の発生
唾液の減少により、食べ物やプラークが洗い流されにくくなり、歯の周りに残ります。また、お口の中が乾燥することによって、さらに細菌が増殖しやすくなるため口臭の原因となるのです。
③歯並びが悪くなる
本来の鼻呼吸では舌は上あごのスポットと呼ばれる位置にあります。しかし、口呼吸の場合、舌が下あごの位置にあることが多くなります。そうなると、お口周りの筋肉(口や舌、表情を作る筋肉など)を正しく使うことができなくなり、歯並びにも影響してきます。また、唇の筋力が弱いため、前歯を内側に抑えることがむつかしくなり、出っ歯にやすくなります。
④風邪やアレルギーになりやすくなる
鼻の穴の中には鼻毛や粘膜があり、呼吸で吸い込んだ空気中に含まれるウィルスや病原菌、アレルギー物質を通しにくくする、フィルターの役割があります。しかし、口呼吸の場合はこれらのウィルスや病原菌などが、口から吸いこまれ直接に気管に入るため、風邪を引きやすかったり、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったりします。
⑤睡眠時無呼吸症候群のリスクが上がる
睡眠時も、お口を閉じて鼻呼吸をし、舌は上あごのスポットと呼ばれる位置にあることが正常です。お口を開けたままの状態で寝ていると、下あごや舌が重力で奥の方へ下がり、気道を圧迫・閉鎖することで、睡眠時無呼吸症候群のリスクとなります。
⑥酸素の取り込みが少なくなる
口呼吸の場合は、鼻呼吸と比べると、1回の呼吸で取り込む酸素の量が少なくなります。
そのため、脳に十分な酸素が行き渡らず、集中力が低下したり、身体の代謝も落ちてしまいます。そして、代謝が落ちることで、痩せにくく、太りやすい体になってしまいます。
⑦顔の形がゆがむ、顔のたるみ
口呼吸は、物理的に口が開いた状態で呼吸を行います。そのため、舌の位置が通常よりも下に落ちてしまい、舌に関する顔やあごの周りの筋肉が衰えて、フェイスラインや口まわりがたるみやすくなります。
この様に、口呼吸には様々なデメリットが存在し、お口だけでなく、全身にも悪影響を及ぼします。中には睡眠時無呼吸症候群のように、命の危険につながる恐れもあります。舌の正しい位置を確認しながら、口呼吸を正していくことが大切です!
口呼吸の改善方法
それでは、具体的にどのようにして改善していけばよいのでしょうか?
✓ 意識して鼻呼吸をする
歯並びに問題がなくても、習慣で口呼吸をしている場合があります。その場合は、何度も意識をして気を付けることで鼻呼吸へ治せることがあります。
✓ お口周りの筋肉を鍛える
口呼吸の方は、口周りの筋肉が正常に使えていないため、口周りや口唇、舌の筋肉も弱ってしまっています。
お口周りの筋トレとして「あいうべ体操」や、口輪筋のトレーニング、口を閉じた状態で舌を上あごの「スポット」に何度か押し当てるトレーニングを行なうことによって、お口周りの筋肉が鍛えられ、自然に口を閉じることができるようになり、鼻呼吸へ改善することがあります。口周りの筋肉を鍛えることで、顔のたるみや顔貌が改善する効果もあります!
<参考サイト>
公益社団法人 日本歯科医師会「カンタン!楽しい!お口のトレーニング」
https://www.jda.or.jp/happysmile2022/selfcare/
✓ 矯正治療を受ける
歯並びが悪いことで、物理的にお口を閉じにくい状態の場合、歯並びを改善することで口を閉じやすくなります。
✓ 耳鼻科を受診する
鼻に疾患がある場合は、鼻呼吸ができない場合があるため、耳鼻科での治療がひつようになってきます。
ブログを読んで少しでも気になる部分がありましたら、お気軽にご相談ください!