みなさんこんにちは!歯学博士の黒坂です。
前回は、歯科治療に使う詰め物『コンポジットレジン』について詳しくお話させていただきました。今日は、もう少し虫歯が大きくてコンポジットレジンが適用できない場合のお話をしていきます。
詰め物?被せ物??と聞いてどのような時に使うものかご存知でしょうか?どちらも型取りをしている技工物となります。
詰め物・・・インレーと言われ、虫歯治療などで自分の歯の一部を削ってし
まい、足りなくなった所を補うもの。
被せ物・・・いわゆるクラウンと言われるもの。自分の歯を完全に覆って被
せてしまう。
このクラウンやインレーは、素材にいくつか種類があり、材質によってお値段も変わってきます。
保険では、基本的に金銀パラジウム合金という金属のものになります。また、金属でも歯との適合性がよく、素材自体も変化しにくい金合金を使用した、ゴールドインレーというものもあります。体に優しく、強度も優れています。
しかし、金属アレルギーのある方や、歯との色調がマッチしないため白い方がいいという場合は、セラミックインレーと呼ばれる自費の材料となります。
今回はセラミックインレーで使われる素材の特性や、それぞれ何が違い、何処の歯に何の素材が適しているのか?について、詳しくご説明していきます。ずっとお口の中に入れるものなので、しっかり特性を理解したうえで選びたいですよね!是非ご参考になれば幸いです。
1.セラミック治療の利点欠点
<メリット>
- 表面がツルッとしているので、汚れや細菌がつきにくく、虫歯になりにくい
- 天然の歯とほぼ見分けがつかない透明感のある美しさ
- 経年劣化に強いので長持ちする
- 歯とセメントと詰め物がしっかり接着するので、二次う蝕になりにくい。
<デメリット>
- 保険適用外なので保険治療と比べると高額になる
- かなり強度があるが割れたり欠けたりすることもある
2. 治療部位による材質の選び方
基本的に詰め物(インレー)は、奥歯(小臼歯と大臼歯)で行われる治療です。噛んだ時に一番力がかかる部分なので、強度も必要となってきます。また、下の奥歯は大きなお口を開けた時に見える部分なので、白い詰め物を選ばれる方が多くなってきています。
現在、当院で行っている白い詰め物には、3種類あります。どの材料も金属アレルギーの心配がありません。
◆セレックインレー
100%セラミックを使ったもので、機械がセラミックブロックを削って詰め物を作っていきます。(硬さ:150MPa)
<長所>
- 比較的安価
- 天然の歯にある程度近い色調
<短所>
- 色が単調
- 噛み合わせの強さによって割れることがある。
◆ジルコニアインレー
セラミックの中で最も硬く、割れにくいジルコニアをつかったものです。とても硬く割れにくい材質なので、噛む度に大きな力のかかる大臼歯や、噛み合わせの力が強い方におすすめです。(硬さ:1200MPa)
<長所>
- 天然の歯に近い色調を再現できる
- 強度に優れる
<短所>
- セラミックより透明感に劣る。
◆オールセラミックインレー
セラミックの中で最も天然歯に近い色調のe.maxを高い精度で焼き上げたものです。技工士さんが細部まで調整してくださるため、適合度がとてもよく、ほとんどご自分の歯とわからないくらい自然な見た目です。(硬さ:470MPa)
<長所>
- 透明性に優れているため、最も天然の歯に近い色調を再現できます
- 耐久性に優れ、長持ちします
<短所>
- 極度に強い衝撃を与えると天然の歯と同様に欠けることがある
このように、セラミックインレーといっても、ただ白いだけではなく、素材によって長所・短所があります。さらに、患者様一人一人、お口の中の環境は違うため、当院では患者様のお口の中に最も適した材質をご提案させていただいています。素材も刻々と進化していっているので、常によりよい材料をみなさまにご提供できるようにしております。
もし気になること等がありましたら、お気軽にご質問くださいね!