みなさんこんにちは。歯学博士の黒坂です。みなさまお正月はゆっくりおやすみできましたでしょうか?寒さが一段寒さが一段と厳しくなってくる時期なので、体調管理に気をつけてお過ごし下さい!
ところで、みなさんは「口腔がん」という言葉を聞いたことはありますか??少し前には、芸能人の方が「舌がん」を公表し手術された話もありましたね。口腔がんとは、口腔領域(舌や歯肉など)にできる悪性腫瘍のことをいいます。今日は、「口腔がん」と早期発見につながる「口腔がん検診」についてお話していきます。
1)口腔がんとは
現在、口腔がんは世界的な傾向として増加し続けています。日本でも口腔がんの罹患率や死亡率は年々高まっていて、さらに女性や若年層の患者さんも増加傾向にあります。
民族や地域、生活様式などによって口腔がんの発生頻度は異なります。日本口腔腫瘍学会および日本口腔外科学会の調査結果によると、現在日本において口腔がんに罹患している人は7,000人前後で、これは全がんの1〜2%、全頭頸部がんの約40%を占めるといわれています。
口腔がんは発生部位により舌、上顎歯肉、下顎歯肉、頬粘膜、口底、硬口蓋と6つの部位に分けられます。口腔がんの発生頻度がもっとも高いのは舌で、口腔がんの半数を占めています。次いで下顎歯肉に多く、硬口蓋がもっとも少ないと言われています。
2)異変に気付くきっかけは・・・
初期の口腔がんはお痛みなどの自覚症状がないことが多く、痛みや違和感、食べ物や飲み物がしみる、口内炎がいつまでも治らないといった症状が出ている場合、すでにがんが進行してしまっている可能性が高いです。自分では見えにくい部分にも口腔がんが発症するため、早期発見には歯科医院での定期的な視診や触診が重要になります。
- 口内炎が2週間以上治らない
- 抜歯した傷・噛んだ傷が治らない
- 入れ歯が当たってできた傷が治らない
- 口腔内のしびれ(下唇や舌)
- 硬いしこりがある
- 違和感、食べにくい、飲み込みにくい
- 口腔内にザラザラした部分、ただれがある
- 舌が動かしにくい、口が開けにくい
- 舌や粘膜の色がいつもと違う(白っぽいもの・赤っぽいものがある)
などの症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
口腔がんは他のがんと異なり患部を直接見ることができるため、本来なら早期発見・早期治療がしやすい種類のがんです。しかし、日本では認知度があまり高くないため、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。日頃から歯磨きの際などにご自分のお口の中をチェックしていただいたり、定期的な診察によって口腔がんの早期発見ができれば、生存率は格段に上がります。
3)口腔がんのスクリーニング
がん検診に関心の高いアメリカでも、口腔がん検診は視診・触診が主流でした。しかし、視診・触診のみの検診では発見率が低いことがわかっています。近年、北米では口腔がんのスクリーニング検査に光学的手法を用いて客観的にスクリーニングする手法が普及しています。
当院でも、視診・触診に加えて、光学機器を用いて口腔がんのスクリーニング検査を行っております。疑わしい部位等に、専用の機器を用いて特殊な光を照射し、粘膜下のコラーゲンの量によって波長が変化した反射光を視覚化し、これによって肉眼では判断しづらい病変をスクリーニングすることができます。
口腔がんの疑いがあった場合は、専門の病院をご紹介し、そちらにてさらに精密検査をうけることをお勧めしています。
口腔内の異変はご自分でのセルフチェックも大切ですが、歯科医院における定期検診でのチェックもとても大切になってきます。もしも少しでも「あれ?」と思う事があったら、担当医や担当衛生士にお気軽にご相談ください☺︎