みなさん、こんにちは!
歯学博士の黒坂です。最近一段と寒くなってきましたね。もうすぐ今年も終わりに近づいていますが、忙しくなる時期なので皆様、体調管理にお気をつけください!
さて、今日は顎関節症についてお話ししようと思います。
みなさん顎関節症をご存じでしょうか?今までに顎に痛みを感じたことはありますか?顎(あご)は微妙に入り組んだ形と複雑な機能をもっています。ここには筋肉と関節と神経が集中し、下の顎をささえています。食事をしたり、おしゃべりしたりすると連動して動いています。この顎の関節やその周囲の筋肉が何かの原因で痛みや動きにくくなると、
・顎が痛い
・口が開きにくい
・あごを開ける時に音がする
・ものが噛みにくい
といった症状が現れてきます。
最近、あごの関節の不快感を訴える方は増加傾向にあります。あごが思い通りに動かず、食べ物が噛みにくくなったり、あごを動かすと不快な音がする、痛みを感じて口が開かない、さらに症状は顎ばかりでなく、肩こりとか、腕や指のしびれ、偏頭痛、耳や鼻にも不快感を覚えることもあります。
疫学調査の結果から、顎に何らかの症状を持つ人は全人口の70〜80%に上るとされていて、このうち病院で治療を受けている人は7~8%です。実際には、顎関節の症状を抱えている人に男女差はないのですが、患者さんは女性が多く、男性の2~4倍で、それも若い女性と中年の女性に多いのが特徴です。
このように症状は広範囲にわたり、人によっては軽い症状から重い症状まで、個人差が大きいのが特徴です。
顎関節症の多くは適切な対処で、日常生活に支障をきたすことがない状態にもっていけるものです。
重い症状の場合、ほうっておくと、進行してあごの機能が完全に破壊されてしまうこともまれにあります。症状があれば早めの診察をお勧めします。
1、顎関節症の症状
- 顎関節やその周辺に異常を感じる。
- 食べ物を噛む時に痛みや異常を感じる。(食事をしているとあごがだるい、口を動かすと顎関節に痛みがある、噛みしめると顎関節が痛いなど)
- 口を開けたり閉じたりする時に顎関節でカックンというような音がする。
- 口が開けにくくなったり、口の開閉をスムーズに行うことができない。
- 口が左右にうまく動かない、開けにくい、あごが外れること
- がある。
これらの症状が一つ以上ある場合、顎関節症が疑われます。軽症の場合はお口
を大きく開けない等、顎を安静にしてあげると症状が落ち着く場合も多いです。症状は、悪くなったり良くなったりをくりかえします。再発もしますがあまり心配しなくてよいケースが多いです。また生活習慣の改善で病状は軽減されます。
このような症状がある場合は、一度ご相談いただけたらと思います。
2、顎関節症の原因
様々な原因が考えられますが、上下の歯の噛み合わせの異常による場合が多いです。また精神的緊張やストレスがあごの周りの筋肉を緊張させ噛み合わせがアンバラスになり、無理な力が関節に加わり顎関節に負担をかけることもあります。
歯ぎしりも顎の関節に大きな負担をかけます。さらに全身的問題、例えば生まれつき関節に問題のある人や、関節に外傷を受けたことがあるかどうかなどが原因となることもあります。
- 急激なストレス(精神的な緊張により、筋肉が緊張します)
- 歯ぎしり
- 強いくいしばり(ゴルフやスポーツをしてグッとくいしばった。特別な行事で緊張してくいしばったなど)
- 唇や頬の内側をかむ癖がある
- 頬杖、うつ伏せ寝、姿勢が悪い
- 顔面打撲や事故による外傷
- 悪い噛み合わせ(入れ歯や歯にかぶせたものが体にあっていない)
- 大口を開けたり、硬いものを噛んだ
- 左右どちらか一方でばかり噛む癖がある、片側の歯が悪いため反対の歯だけで食べ物を噛む
- うつ、不安因子がある 、睡眠障害(ストレスによる)
顎関節症の誘因としては複合的な要因によって、様々な症状がでることが多いです。まだ分かっていないことが多いのも現状です。
3、顎関節症の治療法
噛み合わせを治すことが一番大切です。例えばスプリント(マウスピースのようなもの)を上あごあるいは下あごにいれ、上下の噛み合わせが等しく接するようにします。そうすることにより、顎の関節頭が正しい位置に戻り、筋肉の緊張がとれ、スムーズに動かすことができるようになります。さらに微調整をくり返し症状が取れた段階で、必要があれば、入れ歯やクラウンと言うかぶせ物などを入れたりする事で、噛み合わせの関係を修復します。
顎関節や筋に痛みがあるときはまず安静にしましょう。そして症状を悪化させないために大口を開けることや顎の使いすぎに気をつけましょう。
症状があるときは次の点に気をつけて生活習慣の改善をはかりましょう。
・顎に負担がかかるので硬いものは避け、軟らかいもの(おかゆ、やわらかいそば、うどん、パスタなど噛まなくてよいもの)を食べましょう。
・顔の筋肉をやわらげるために、口を軽く閉じて歯を接触させないようにしましょう。
・大きなあくびや長時間の歯科治療は避けましょう。
・仰臥寝(あおむけね)と低い枕を使用しましょう。うつぶせ寝はしてはいけません。
・同じ姿勢を長く続ける事を避け、時々はストレッチをして心身を休めましょう。また猫背や顎を突き出すような姿勢をとらないようにしましょう。
・首の牽引、頬杖をしないようにしましょう。
以上の点に気をつけて生活習慣の改善をはかりましょう。
もし、顎に違和感やお痛みがある場合は、
一度何が原因か調べるためにお気軽にご相談ください!