こんにちは、歯学博士の黒坂です!6月は祝日がない月ですね・・
梅雨でお天気もスッキリしないので、気分的にもちょっとブルーですが、ちょっとした晴れ間を活用して気分転換したいものですね♪
さて、今回は・・・
「治療途中で放置・・・与える影響」についてのお話をします!歯が痛くなって歯科医院に通い始めたけど、予約の都合がなかなか合わず、ついつい痛みがなくなったから、中断した経験のある人いませんか?
みなさんが歯の治療を受ける上で一番困るのは何でしょうか?多くの人が抜歯だと思います。しかし、治療途中で放置することで抜歯になるリスクが上がるため、注意が必要です。どの段階で放置していると、どのようなリスクがあるのか・・・詳しくご説明していきます。
1)根の治療途中で放置
歯の神経を取り除く治療(抜髄)を行なった後や、歯の神経が腐ってしまい歯の根の治療(根管治療)を行っている場合など、主に歯の内部の治療を行っているときは、中断すると後のダメージが特に大きくなります。
歯の内部は象牙質という部分で、歯の表面のエナメル質という白い部分と比較して抵抗力が弱い部分です。あまり放置されると、虫歯が進行したり、根の内部がどんどん汚染されていきます。
根の治療は、痛みがなくなった後も治療に回数がかかることも少なくありません。しかしここで中断になってしまうと、歯の寿命を一気に縮めるので、注意が必要です。最初は根の治療後は土台をたてて被せ物ができる状態であったとしても、虫歯が進行してしまうことによって、根っこそのものを残すことができなくなる場合もあります。また根の治療中は神経が通っていた部分が空洞になっているため、力に対して大変弱くなっています。最悪の場合、歯が割れて抜歯になってしまいます。
2)かぶせ物などの型を取ったままの放置
型を取った後でも、歯は口の中で少しづつ移動することも多く、出来れば時間を開けずに完成品の被せ物を取り付けるほうが、精度の面では良い結果となります。
型を取って1~3ヶ月経過してしまうと、被せ物の適合性がずれてしまうことも多く、調整に余分な時間がかかったり、最悪の場合作り直しになることもあります。また、削ったままの部分に仮ぶたをつけますが、文字通り「仮」なので、封鎖性も弱く、表面の汚れが取れにくかったりします。そのため、隙間から唾液や細菌が入り、せっかく虫歯を取りきって形を整えていたのに、また虫歯治療からの再開になってしまうことが多いです。最悪の場合、最初は神経が残せていたのに、虫歯が進行してしまったため神経を取る処置が必要になってしまったり、抜歯になってしまうこともあります。
3)仮歯(かりば)のままの放置
一時的に見た目が元に戻るのが、プラスチック状の樹脂で、歯に被せ物などを作る仮歯です。長期間の使用には素材的に耐えることが出来ませんが、手軽で見た目も良いため被せる前などによく作られることがあります。
仮歯は時間が経過すると、次第にすり減ります。すり減ってしまった部分は歯の移動によって補正が起こり、咬み合わせ面の被せるために削ったスペースが、どんどん失われます。改めて治療を開始した時点では、スペース不足のため、追加で歯を削ることとなり、特に歯の神経をギリギリで保存した場合など、神経を残せなくなってしまうこともあります。
インプラントなど、治療に長期間を要する場合に用いる仮歯は、摩耗しにくい特別な材料を用いて作っていますので、安心してくださいね。
4)応急処置の放置
親知らずなどが腫れた際、歯の周囲を洗浄したり、膿を出すために、歯茎の一部を切開するなどして、応急的な処置が行なわれます。一時的に症状が改善すると、そのままで様子を見たくなりますが、あくまで対症療法に過ぎず、原因となっている汚れや細菌など塊は歯茎の内部にそのままになっているため、しばらくすると前よりももっと腫れることもしばしばです。応急的処置を繰り返すだけでは、だんだん状態が悪化する場合も多いので要注意です。
5)抜歯しなければならない歯の放置
親知らずや虫歯など、抜歯しなくてはならない歯をそのままにしておくのは危険です。虫歯が進行し、虫歯菌の影響で歯茎が大きく腫れたり膿むだけでなく激しい痛みを伴います。抜歯が必要と判断された場合、応急処置で一時的に痛みが緩和したとしても、抜歯することをお勧めします。
このように、治療途中で放置すると、状態が改善していくことはなく、悪化の一途をたどってしまいます。確かに、痛みがなくなってしまうと、ホッと一安心して気が緩んでしまいますよね。しかし、「痛みからの解放」がゴールではなく、「ご自分の大切な歯を、いかに長く大切に使ってあげるか」ということを考えると、短期的な目標として「治療を終えるまで」、長期的目標として「定期的なメンテナンスによる口腔内状態の維持・病気の早期発見・早期治療」ということが、とても大切になってきます!
みなさんのお口の健康に貢献できるよう、当院としても最大限にサポートさせていただきたいと思っております!